第32章

タクシーがサービスアパートメントの階下に停まった。葵は運賃を支払い、ドアを押し開けて車を降りる。

ポケットの中のスマホが不意に震えた。悠からの暗号化チャンネル経由のメッセージだ。

『三社目のフォローオン投資機関が五千万の出資額を確定させた。これでシリーズAの総調達額は四億五千万前後になる』

葵はエントランスに立ち尽くし、その数字を頭の中で反芻した。

四億五千万か……。想定より五千万少ないが、それでも十分だ。

量子チップのテストは残り二ラウンド。計算リソースのコストはすでに固定化されており、衛星通信の先行研究におけるハードウェア調達費はまだ叩ける。浮いた資金を回せば、チームの向こう十...

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